2007
10.07

SOS 第4章

10/6土曜日の昼下がり、スタッフAの携帯に「店に誰かいねーが?」

つまり、今からボロバイクを引き上げにいくので、お客さんで手伝ってくれる人、店に誰かいませんか?

ということ。

店主の私でなく、スタッフAの携帯にTELするなんて、私に後ろめたい気持ちでもあるのだろう。

誰もいましぇ-ん!!!!一人で行ってこ-い!!!目じりが下がった寂しそうな顔が目に浮かぶ。

いやいや、同情などしちゃいかん。思い出した、その当日、店へ帰って熱弁してたとき、

「今度の土曜日、バイク引き上げてきたら、みんなで芋煮会でもすっべ!へへへ」 な、なにぃー!

いつまでも主人公でいるな!楽しいツーリングでも行ってきたかのように。

しかし、dera君は見捨てなかった。稲刈りをほっぽりだし、引き上げの御手伝いに現場へ。

解体作業はスムーズに進んだ。現場でエンジン、Gタンク、シート、他外装を取り外し、

車までの悪路1.5kmを往復、この光景を知らない人が見たら★?*”$+#。

 

エンジン背負ったオヤジの後姿は、芝刈り帰りの桃太郎のじいちゃんよ。



「いやぁ、山はいいなぁ、猿もいるし、鳥もピーピーって、気持ちいいーっ!」

相変わらず・・・。

つづく

2007
10.07

SOS 第3章

もはや彼の脳裏には、DTとの別れの悲しさだけしか残ってない。

とどめを刺すようにスタッフAは「蹴っ飛ばして崖から落としてやっべ、そのうち土に返る」

「崖っぷち犬」と化したDTには救われる道は閉ざされた。犬は救われるのに。

 

あらためて救出にこよう!という彼の独り言か?問いかけ?は我々には聞こえなかった、ことにしよう。

もう、電灯無では歩けない暗く静粛な山道に彼の独り言だけがこだました。「来週の土曜日・・・deraと

一緒に・・・ん-、フォークばらして・・外装はずして・・・」 かわいそうなdera君。

店に帰ると、何人かのお客さんが待ち受けていた。

すると、どうでしょう!オヤジは水を得た魚のように、今日の出来事をみんなに面白おかしく

話してるではありませんか!しかも、来週一緒に救出作業を手伝ってくれる人足を募ったりして!

生きるって素晴らしい!さっきまで生死をさまよった人とは思えない、自分勝手なオヤジ。

「俺、足の骨でも折って、歩けなくて、携帯もつながらなかったら、捜索願いでてたべね。ガハッハッハ」

最後の最後までことの重大さに気がつかない「オヤジ」である。バカヤロー!

つづく